家をつくろう 1 概要

息子が2歳半の時に、いろいろと偶然が重なり自宅を設計することになりました。

これまでの経験から設計を始めてから住み始めるまでが1年くらいというのが中央値なので、3歳半くらいから新居に住み始めることをイメージしながらの設計となりました。

幼児のいる家庭の住宅は何度も設計してきたのでおおよそ気を付けるポイントは目処が付いておりますが「必ずしも必要はないけど他人の生活なので念には念を入れて対策しておく」的なものを省いて設計に落とし込んでいくことにしました。

息子が家で過ごす期間として設定するのは3歳半から大学卒業までとして、何か不慮の事故などで大人になっても同居とか介護が必要になることなどはひとまず考えずに、成長具合に分けながら検討していきます。

・幼児期~小学校低学年くらい

やはり子どもが小さい時ほど環境から受ける影響は強いと思われるので、住み始めの頃について考えることが一番多くなります。

おおよそ大多数の親と同様に、伸び伸びと楽しく過ごしてほしく、引っ越すまでの間は集合住宅で下の階などに気を使いながら過ごす分引っ越し後は好きなだけ飛び跳ねれるような環境を与えたいと思いました。

家の中で暴れる時に活躍するのが段差で、軽めの怪我は受け入れるくらいの気持ちで、ある程度の高さのある段差を効果的に入れていこうと考えてました。

これは、親側の老後を考えると必ずしも良いアイディアとはいえませんが、逆に常日頃から段差に慣れ親しむことで足腰も鍛えられるだろうとも思え、最悪段差のある生活ができなくなったら賃貸にでも出せば良いかと楽観的に考えました。

体を動かすという観点ではボルダリングホルダーや雲梯などもよく取り入れるアイテムですが、自分の家に限ってはあまり子ども用につくりましたという感じにはしたくなかったというのがあり、必要に応じてそういったものも設置できる下地は入れておいて最初から設置するのはやめることにしました。

その他で幼児が楽しみやすい要素としては回遊性というのがあり、ちょっとしたところで体が小さいうちは通り抜けられる場所をつくろうと思いました。

また、家のどこにいてもなんとなく気配がわかるようにしておこうということで、なるべくドアを設けないで済む間取りというのも意識しました。

・高学年~中学生

思春期以降については自分でも記憶がいろいろとあるので、こういうのは嫌だろうなとかいろいろ考えてしまうところではありますが、そうはいっても住む家が違えば考え方も変わるかもしれないということで自分の記憶は一旦棚に上げて考えることにしました。

むしろ、大人になっても居心地が良すぎるのも問題なので、プライベートな空間は最低限という方向で、通常子供部屋というと最低4.5畳のような風潮がありますが3畳+ロフトくらいでいってみることにしました。

これは大学の寮などのイメージで、数人の友人が来てもなんとか過ごせるぎりぎりが3畳かなという感覚があります。

勉強をどこでするかという問題は定期的に世間の流行が変わるのであまりそこは気にせずに自分の部屋でも居間でも玄関でも好きなところでやってくれればいいやということにします。

・高校~大学

このくらいになると家にもう一人大人が増えるような感覚になると思われ、3人の大人が常時いても息苦しくならないような空間構成を考えます。

実際どうなるかはさておき、理想としてはあまり部屋にこもらずパブリックスペースで過ごしてほしいという思いもあるので、リビングダイニングだけでも数か所に居場所を分散させられるようにしたいところです。

大きな家なら何の問題もありませんが、今回は法的にも金銭的にもコンパクトにまとめないといけないのでいかに小さな空間に「ささやかでありながらもおおらかな居場所」を散りばめられるかというのはチャレンジングな課題となりそうです。

・独立後

社会人以降はよほどな理由がない限り一人暮らしをしてもらいたいので、それ以降は子ども部屋ではなくなるという方向で考えます。

理想的には全て自分のものを持って独立してほしいですが、自らを振り返ると難しいと思うので最低限のものは置いておけるくらいの空間を小屋裏に設けておこうかとは思います。

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と、このようにどうなるかわからない未来に想像を働かせながら自宅の設計がはじまりました。

次回からはもう少し細かい部分などご紹介できればと思います。